2014年8月8日金曜日

なぜすき家の労働環境問題が浮き彫りになったのか?

すき家が色々問題になっているようだ。
深夜での一人勤務体制、人手不足、ボイコットからくる店舗閉店などである。
どうやらその根底には労働環境が問題のようである。


どうして急にこうなったものかとふと数字を使って考えてみたくなった。
なぜなら僕の記憶が正しければ、すき家は成功していたはずだったからだ。

ということで片っ端から直近の決算書を読んでみた。他社と比較もしたいので、
ゼンショー(すき家)に加えて吉野家、松屋も見てみることにした。

こちらが2013年度の各社決算書から抜粋して纏めたものであり、また数値は(億)である。これがまた意外と面白い。



粗利率は外食業界の中でも高いほうなのではないだろうか。外食産業などの居酒屋で30%くらいなので、現に売上高総利益率が60%近いということはかなり安くおさえられているのではないかと感じる。(ゼンショーは多角的にレストランを経営していて、その数値の合算という点で安易に説明ができないが、話を単純化するため、ここではそのことについては触れない。)

本業の儲けは営業利益で見るのだが、(経常利益は本業以外の収益や損失も含まれるためアメリカでは原則重視しない指標である。)正直この牛丼をメインとした外食産業の営業利益率の低さには驚いたが、ゼンショーも本業でも利益は出せている。それでもこの営業利益率の低さからはオペレーションの見直しは3社とも急務のように感じる。原材料が数パーセント高騰しただけでこの営業利益が吹っ飛ぶからである。


それではこのような各社似たような状況の中で、
なぜゼンショーだけが、深夜営業での一人勤務や労働環境の悪化という問題が生じたのだろうか?上のグラフから僕が気なった数値が下記3つである。
  • 営業CF
  • ROA
  • 店舗数(牛丼店のみ)

3社の当期純利益はそこまで大きな差がないにも関わらず、ゼンショーの営業CFだけが極めて大きな数値である。営業キャッシュフローが大きいのはいいことなのであるが、他社と比較した場合のこの乖離が少し気になった。なぜなら営業キャッシューフローには減価償却費も含まれるからだ。つまりこのゼンショーの営業CFが大きいのは巨額の設備投資からきているものと考えられる。現に牛丼店のみの店舗数は他社と比較しても圧倒的に多く800〜900店舗多い1984店舗となっている(2014年8月時点)。

ROA(事業に投下されている資産がどれだけ利益を生み出しているかを見る指標であり、収益性と効率性が分かる指標でもある)を見てみると、ゼンショーが最も低く0.4%となっている。2008年に吉野家を抜いてその五年後には約2倍の店舗数である。ゼンショーは急激に店舗数を増やしてきた結果、恐らく他社と比較して不採算店舗を増やしすぎてしまったと考えられる。つまりそれらの店舗数を維持するためには深夜営業にプラス労働力の削減(つまり従業員一人にする)をしないと事業の採算が合わなくなってきたのが今回の要因だと考えられる。

下記グラフは以下のページを参照
(http://www.garbagenews.net/archives/1983397.html)

結果として、2013年度の各社のFCF(フリーキャッシュフロー)は次のとおりである。


やはり最初に感じていたことは当たっていた。フリーキャッシュフローが赤字なのである。ファイナンスではこのフリーキャッシュフローが最も重要な指標でこれがマイナスだと事業継続が危ないということになる。


あくまで予想であるが、
フリーキャッシュフローをプラスにするべく今後店舗数の大幅な減少を余儀なくされるだろう。なぜなら従業員に過剰労働を強いる選択肢を今失ったからである。



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